甘い夜更け。朝を憎んだ。
「お守りなんて正直なんの効果があるのかなんて分かんないじゃん。お守り買ってめっちゃ救われた!なんて実感、正直持ったことなんて無いし。でも気休めでもそれがあればもしかしたら平気かもって思えるでしょ」
「残酷だなぁ。きっと夜乃さんにだって人並みの心はあるよ。生きてる人間なのに。そんな風に扱われてさ」
「そう。思春期の心は残酷で、残忍なの」
生徒会室にはそれなりの物音や役員達の話し声は飛び交っている。
けれど教室よりは騒がしくない。
俺達の話し声がどれだけ聞こえているかは分からないけれど、誰もこちらに関心がある素振りは見せなかったし口も挟んでこなかった。
夜乃の「真実」を肯定しているのか否定したいのかも分からない。
佐藤だけが特に何もすることがないのか、小説を広げて役員が使う席にジッと座っている。
目の動きを辿れば分かる。
小説なんか読んでいない。
今日の生徒会は強制ではないから帰宅してもいいんだけど、佐藤はまるで夜乃の帰還を待つようにただジッとしていた。
たぶん、俺達の会話に耳を澄まして。
黒の帆布生地に、赤、青、黄色の花火が施されているブックカバーだった。
信号機みたいだと思った。
「残酷だなぁ。きっと夜乃さんにだって人並みの心はあるよ。生きてる人間なのに。そんな風に扱われてさ」
「そう。思春期の心は残酷で、残忍なの」
生徒会室にはそれなりの物音や役員達の話し声は飛び交っている。
けれど教室よりは騒がしくない。
俺達の話し声がどれだけ聞こえているかは分からないけれど、誰もこちらに関心がある素振りは見せなかったし口も挟んでこなかった。
夜乃の「真実」を肯定しているのか否定したいのかも分からない。
佐藤だけが特に何もすることがないのか、小説を広げて役員が使う席にジッと座っている。
目の動きを辿れば分かる。
小説なんか読んでいない。
今日の生徒会は強制ではないから帰宅してもいいんだけど、佐藤はまるで夜乃の帰還を待つようにただジッとしていた。
たぶん、俺達の会話に耳を澄まして。
黒の帆布生地に、赤、青、黄色の花火が施されているブックカバーだった。
信号機みたいだと思った。