甘い夜更け。朝を憎んだ。
つば広の大きな帽子はベージュだった。
そんな淡い色の帽子でこんなにも暴力的な陽射しが回避できているのか謎だった。
一切日焼け対策をしていない俺よりは絶対にマシなんだろうけれど。

「そっちはどんな感じ?」

「どんな感じって?」

「学園生活よ!高校最後の一年ってちょー貴重なんだから!」

本家から五分ほど歩けば海に出る。
船着場と、数年前までは海水浴ができた海岸だけど、今は遊泳禁止になっている。

ある年の夏。
酷い雨が降り続いて、土砂災害になった。

俺もちょうど帰省していた時だったから、海岸脇にそびえる崖が崩壊した時の凄まじい轟音は今でもはっきりと憶えている。

よくある海水浴場だった砂浜は、崖が崩れて落ちたどでかい岩でいっぱいになった。
立ち入りも禁止されていたけれど数年も経てば地元民は平気で、アトラクションか何かのスポットのように立ち入るようになったみたいだった。
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