甘い夜更け。朝を憎んだ。
「ねぇ、ちゃんとこっち見ててよ」

女子生徒の瞳をジッと見据えて頬に触れるだけで、とろけるような声で「好き」だと囁かれる。

好き…?
顔が?体が?俺の地位が?

心では決してない。
俺とこの子の間にあるヒストリーは、今のこの瞬間だけだから。

「ね、ところできみさ…」

「んっ…なに…」

「何年生?」

「えっ…」

ピタッと止まる女子生徒の体。
拍の速い呼吸音だけが、閉ざされた生徒会室に充満していくみたいだった。
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