甘い夜更け。朝を憎んだ。
「ね…蜜。コレ」
従姉妹がキュロットパンツのポケットから見たことのない錠剤を取り出した。
一般的にも珍しくない見た目。
白くて丸いだけのなんの変哲もない錠剤。
「なんの薬?持病とかあったっけ」
「違うよ」
一瞬、伏し目がちになってゆっくりと視線を俺に向けた。
ここで過ごす夏の夜は俺にとっては日常なんかじゃなくて、少なからずそれに対する高揚感があるのか、
一年に一度だけ触れる肌の感触、体温に興奮しているのか、
昼間に見る従姉妹の無邪気さは感じられない。
「じゃあ、何」
「友達に貰ったの。男友達。嫉妬した?」
「嫉妬なんかしないよ。俺がずっとここに居るわけじゃないんだから。それにたかが男友達だろ」
「私達は血で繋がってるもんね」
ちょっと得意げな口調に「うっすいけどね」と煽ったら消えそうな声で「いじわる…」って返された。
「ね、一緒にしよーよ」
「何を」
「だから、コレ。媚薬なんだって」
「媚薬?」
「そ。フツーより気持ちよくなれるの」
媚薬くらいは知っている。
散々こんなことをしておいて、そういう知識が乏しいわけがない。
誇れたことではないけれど。
従姉妹がキュロットパンツのポケットから見たことのない錠剤を取り出した。
一般的にも珍しくない見た目。
白くて丸いだけのなんの変哲もない錠剤。
「なんの薬?持病とかあったっけ」
「違うよ」
一瞬、伏し目がちになってゆっくりと視線を俺に向けた。
ここで過ごす夏の夜は俺にとっては日常なんかじゃなくて、少なからずそれに対する高揚感があるのか、
一年に一度だけ触れる肌の感触、体温に興奮しているのか、
昼間に見る従姉妹の無邪気さは感じられない。
「じゃあ、何」
「友達に貰ったの。男友達。嫉妬した?」
「嫉妬なんかしないよ。俺がずっとここに居るわけじゃないんだから。それにたかが男友達だろ」
「私達は血で繋がってるもんね」
ちょっと得意げな口調に「うっすいけどね」と煽ったら消えそうな声で「いじわる…」って返された。
「ね、一緒にしよーよ」
「何を」
「だから、コレ。媚薬なんだって」
「媚薬?」
「そ。フツーより気持ちよくなれるの」
媚薬くらいは知っている。
散々こんなことをしておいて、そういう知識が乏しいわけがない。
誇れたことではないけれど。