甘い夜更け。朝を憎んだ。
三章
存在
佐藤アマイからトークアプリを通じて連絡が来たのは八月二十日。
あと十日で夏休みが終わるのに、外気は暴力的な熱を発したまま。
こんな状況で誰が勉学に励めるのだろう。
教師だって嫌だろうに…なんてリビングでぼんやり考えている時だった。
昼を過ぎて二時になろうとしていた。
昨夜、退職者の送別会があって、珍しくしこたまアルコールを摂取した母さんが午前休を取っていたけれど、十二時過ぎには出勤していった。
「蜜、そうめん茹でてるからね!」
まだ少しダルさが残っていそうな表情だった。
俺のことなんて放っておけばいいのに、明るいうちから顔を合わせることが珍しいからと、「母親らしい」世話を焼いて、結局休めたのかどうかも分からないまま出ていった。
そうめんはまだ冷蔵庫に入ったままだった。
覗いてみたらガラス製の器に一口大ずつ渦巻きみたいに丸められたそうめんが盛られている。
そうめんと、それが盛られている器とおんなじようなガラス製、手のひらサイズのボウルにめんつゆを淹れて、それらをトレーに乗せて二階の部屋に上がった。
あと十日で夏休みが終わるのに、外気は暴力的な熱を発したまま。
こんな状況で誰が勉学に励めるのだろう。
教師だって嫌だろうに…なんてリビングでぼんやり考えている時だった。
昼を過ぎて二時になろうとしていた。
昨夜、退職者の送別会があって、珍しくしこたまアルコールを摂取した母さんが午前休を取っていたけれど、十二時過ぎには出勤していった。
「蜜、そうめん茹でてるからね!」
まだ少しダルさが残っていそうな表情だった。
俺のことなんて放っておけばいいのに、明るいうちから顔を合わせることが珍しいからと、「母親らしい」世話を焼いて、結局休めたのかどうかも分からないまま出ていった。
そうめんはまだ冷蔵庫に入ったままだった。
覗いてみたらガラス製の器に一口大ずつ渦巻きみたいに丸められたそうめんが盛られている。
そうめんと、それが盛られている器とおんなじようなガラス製、手のひらサイズのボウルにめんつゆを淹れて、それらをトレーに乗せて二階の部屋に上がった。