甘い夜更け。朝を憎んだ。
「なんだかすごく久しぶりな感じがします」

「何が?」

「生徒会室ですよ」

「あー。俺も終業式以来だ」

「生徒会長でも夏休みは完全にお仕事無いんですね」

「あっても来ないよ。めんどくさい」

「ふふ。朝之先輩ってすごく頭がいいし、しっかりしてるのに案外毒舌ですよね」

「そうかな?俺だってただの人間だからね。ダルいもんはダルいよ」

「今日は大丈夫でしたか?」

「全然。これはダルい案件じゃないから」

「よかった」

佐藤は目を伏せて少し微笑んだ。

とりあえず座るように促したら佐藤はいつもの自分の席に座った。

机は一列に五台ずつ。
合計十台を向かい合うように並べている。

俺はその左隣に座った。
椅子を少しだけ佐藤のほうに向けたら膝がくっつきそうになって佐藤は慌てた様子だった。

だからさほどなんの反応も示さなかった自分自身にちょっとだけ反省した。
女の子に触れそうになったらやっぱり少しは反応したり、気を遣うのが紳士なんだと思う。
いちいちそういう目で見られていても気色悪いだろうと思うけれど。
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