甘い夜更け。朝を憎んだ。
「つまり夜乃さんが消えてくれて周りはホッとしてるってことだね」

「そうです」

「ダメな自分が浮き彫りにならずに済むからね」

「そうです」

「佐藤さんが夜乃さんを親友だって思ってる気持ちも本当でしょ」

「…そうです」

「どうしたの」

「自信がなくて」

「自信?」

「こんなこと言った後に親友なんて言ったって信じてもらえるのか」

「そんなこと、他人にどう思われるかなんてどうでもよくない?二人がそう信じてればそれでいいと思うんだけど」

「そう…ですよね。朝之先輩、ありがとうございます。先輩ってやさしいんですね」

「知らなかった?」

「だって先輩は…」

「ん?」

「…なんでもないです」

「大うそ。なに?だめだよ。そこまで言ったんなら」

「先輩は…きれいじゃない噂もたまに聞くから…」

「あー、そのこと」

「すみません」

「別にいいよ。事実だし」

「とばりと違って先輩は事実なんですね」

「あはは。そうだね」

ずっと俯き加減に話していた佐藤がしっかりと顔を上げた。
さっきよりは表情がやわらかい。
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