甘い夜更け。朝を憎んだ。
自分が本当に夜乃とばりの帰りを待っているのか分からなくなった、
佐藤はそう呟いて言葉の意味とは反対に少し微笑んだ。

「それはさっき言ったように佐藤さんの中にも純粋な嫉妬があって、それを認めてしまったから自分が情けなくなっただけでしょ」

「そうでしょうか…」

「そうだと思うけどね。そのくせにあなたのことが大事だよって言う。その矛盾に佐藤さんは後ろめたくなったんじゃないかな」

「後ろめたい…そうかもしれません」

「それならそれでいいんじゃないかな。少なくとも俺に話してくれたことを俺は否定しようとは思わないよ」

「ありがとうございます…。とばりに会いたい。その気持ちは本当です」

「うん」

「もし自分の意思じゃなく誘拐でもされたんだとしたらすごく怖い思いをしているだろうし…。一秒でも早く助けたいって気持ちも本当です」

「うん。疑ってないよ」

「でも先輩、」

「うん?」

「一番近くにあった光が消えたから私が見えるようになった。そう思うことは許されますか」
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