甘い夜更け。朝を憎んだ。
四章

マリオネット

体育祭も終えた十月半ば。

佐藤アマイの学園でのポジションが以前とは明らかに変わってきていた。

佐藤はまるで俺の恋人かのように振る舞った。
俺は肯定も否定もしなかった。

否定されないのであればと、佐藤は俺を学園内で見つけた時、生徒会室での集まりでも「恋人らしく」振る舞った。

容姿は相変わらず、佐藤に夜乃の残像を重ねてくれと言わんばかりに、夜乃の気配を感じた。

変わったのは言動だ。

当然、佐藤は夜乃よりも僻みや嫌がらせの対象になった。

悪質ないじめに発展したわけじゃない。

小さくてネチネチしていて、俺が気づくかどうかのギリギリのラインを攻める。

悪質かどうかを決定するのは加害者側じゃない。

受けた人間の心。
そこだけに決定権はある。

佐藤は一切の嫌がらせも取り合わなかった。

「朝之先輩が私を拒否しないでいてくれる。それだけが全てだから」と、惚けたような瞳で繰り返した。
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