マフィアの弾丸
(…まぁ、学生の頃とかは写真見ながら、もっと見て分かるくらい優しそうな顔の人なら良かった。って、思わなく……もなかったけど)
仕方ない。
多感な時期の感受性は否めないし。
ただ、・・・・・カッコいい、
とにかくかっこいいの。
我ながら今では、家族の贔屓目なしにしたって父さんは顔の造作も
均整の取れた恰幅も。
写真に写るには
もったいないぐらいのイケメンさんだったんじゃないかと。
ほんとに思うから。
・・・・たとえ左目に、キズがあろうと。
相当、当時はモテモテだったんじゃないだろうか。
女の子はべらせて、楽しく
真っ盛りピ➖➖➖してたんじゃなかろうか。
────…正直、子どもの頃の記憶ってほとんど覚えがなくて。
ただ、自分が何を見てこの空気が苦手でこれがイヤで、とか。
そう言った繊細な己の感受性は、
なんとなくからだで覚えてる。
だから、『カッコイイ〜!!』と周囲に持て囃されても強面の
父親がイヤだったし、やけに注目されるのも至極、厭った。
家のなかでのルールや守りごとの厳しさなんかは、母さんのほうが割と精力的だったし。
父親との思い出がそんなに無いくらい、私は長女だったこともあって、
いつも『ちゃんとしなきゃ』『こうしたほうが良いんだ』と。
よく、母方の祖父母にはとくにキツく言われていた、────そして重圧だった。
それもあって、実は
父さんのことがあんまり記憶にない。