マフィアの弾丸





 ────…ノスタルジックに、懐かしい小話を、ふと、回想しながら
 そう言えばそんな子ども時代から、今の今までをずっと過ごしていたよな。


 なんて事を、ぼんやりとした思考で
 回顧するさながら。



 途中、降車ボタンを押して座席から立ち上がると、ICカードを片手に、
 手すりに捕まり。

 次のバス(ストップ)まで佇立していた私は、
 (……そう、言えば)と思い当たる節を拾い、先刻まで立ち話していたアーウェイさんとの
 会話を追想する────…、




───────────
──────




 ────つい帰り際の折だ。


 仰々しいリムジンを降りて、『ありがとう、ございました』と謝礼といっしょに、低頭しかけた私に
 アーウェイさんが、

 ふらっと。こともなげに『そーいやお前の母親、』────なんて、切り口悪く
 話の腰を折ったものだから、


 何かあるのか?と私はアーウェイさんの言葉の追加を待っていた。

 そうして、不審気に首を傾げていたら、




 『────いや。お前の母親、随分、物分かりよかったけどおれらみてーな輩を相手にすんの慣れてんのか?』


 『……はっ?…ぇっ。どう言う』

 『そのまんまの意味。慣れてんのか』
 

 『え…何、か。変な話しました?』


 『べつに特別なコトは(なん)も話してねぇよ。ただ『お嬢さんをお借りします』っつったら『どこのどちら様でしょうか』って、やけに冷厳(れいげん)な応対だったから肝座ってンのかと思って』


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