マフィアの弾丸
そう言った彼の言葉には眉を顰め、『ん?』と首を捻る。
・・・・・そんな、母の像なんて、
あまり想像がつかない、・・・と言うか。
生真面目で隙のない、はっきりとした性格ではあるけれど、基本、母さんは人前では
先ず穏やかだし、平和主義でもあり割とおっとり気質で。
若干、天然で抜けている面もあるこの間なんかは、
車の空気圧が無いことにテンパって慌てて、弟に電話しようと思ったら
私に連絡が来ていた。という始末ほどであるのだ。
・・・・その母さんが、
冷厳とした応対を?
『────あぁ、まぁ一応、サツに変に情報が漏れても厄介だからな。連絡取るまえに先に、構成員よこして相応の額を握らせようと畳みかけたんだが、』
『……そんな。裏であの手この手って。めちゃくちゃ悪どいですね。それじゃアンフェアも良いとこです』
『っるせぇーな。フェアな遣り方じゃ現時点で問題山積みなんだよ。身動き取りづれぇっと…、あとあと始末に負えねぇしな』
『まぁでも、…』とそこまで建前置き
いちど区切ったアーウェイさんは、思案げに顎下に指先を添えなおすと、
『そンでもお前の母ちゃん、電話先でもわかるくれぇ毅然とした態度で答えてたぞ。
『娘を預かるのにお金を使うっつーことは、ソチラさんにとってお前ぇの価値はその程度と受け取りますが宜しいですね』だとよ』
『……っぇ、』
『慣れてんのか』
『…いや、…そんな話、
聞いたことないけど』
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────と。
この時はほんとにそう思って、疑念のまま置き去りに
二人とはお開きになったワケだけれど、
(………考えてみたら、母さん、あの父さんと付き合って結婚したんだよね)