マフィアの弾丸
最寄りのバス停留所から自宅まで歩いて5分くらいだけれど、
わりと
住宅街が連なった土地柄なので祝日や、今日のような土日だと、どこも子どもたちを連れて
出かけているのか案外、静かだ。
そうして下った十字路の角を曲がり、坂を降りていくと住宅地がならんで再び
十字路がある。
その、十字路を通り越して何軒目かのところに祖父母の一軒家があるのだけれど、
(………、あれ)
歩みを踏んでいた足を止め、
目を凝らす。
遠目だから確実ではないが、
住宅地と住宅地の間の、幅の狭いコンクリート道なのに
どこか、仰々しく。
黒光りしている高級車が、とある家のまえに停車され。
ふたりの黒服の男たちが
女性に向けて、なにかを話している様子がぼんやりでも窺えた。
・・・・・・ま、さか、
(………ウチ、っじゃない。よね)