マフィアの弾丸





 スマホを差し出して(のち)、すぐ、距離間を測れるよう、半歩下がった。



 男は私からスマートフォンを受け取ると、流暢(りゅうちょう)な英語で
 アーウェイさんと話し出したので。


 その隙に私は目配せで、
 隣にいた母さんに
 「どうしたの」と声を潜め状況把握を試みた。



 母さんはそんな私に小声で、
 「あぁ、
 …『伊万里をお預かりさせて頂いてます』って。わざわざ伝えに来られたそうよ」と。



 あまりにサッパリ、淡々と。

 事も無げに言ってのけたものだから、内心、母さんのその落ち着きっぷりには
 私のほうが
 度肝を抜かれてしまいそうになったが、




 (…なにせ、この普通の住宅街には
 不釣り合いであるから)




 ・・・・・・でも、
 一応は彼らも電話した。って言ってたし。


 それほど大袈裟に取り立てて問題が起きてる感じでもなかったか・・・・・、と。



 ひとまず、肩の荷を下ろせる事に
 ホ、と安堵した。


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