マフィアの弾丸





 ────…ふぅ、と。

 自戒の念も込めてひとつ落とした嘆息。



 こみあげる鬱積(うっせき)と自己防衛がゆえの有耶無耶(うやむや)さに肩を、
 竦め
 下唇を噛むと、感情の整理のやるせなさを誤魔化すように「────…ぁっ、ぁそうだ」と。


 もうひとつ、疑念視していたことを聞くべく、
 口を開きなおした。




 『あ?ナンだ』

 「…ぁの、すみません。もう一つ聞きたいこと、があって」


 『あンだ、────まだあンのかよ』



 若干、咎め立てをするような含みと、呆れ声が電話越しに響いたのには、

 さすがの私も「すみません」と素直に謝罪を吐露して。



 それでも
 私の調子を察してくれているらしい彼は、特別、不機嫌さを醸すでもなく
 つぎの言葉を、待っていてくれてるようだった。




 「……あの、ぇっ、とアーウェイさんは、カーフェイさんの側近、なんですよね?」


 「あぁ一応な、……。

 なに?アイツに近しいからって愛人候補してェって?ヤメとけヤメとけ。あいつ本命い」



 「いや違うから」


 そんなワケがあるかバカも休み休みに言え。

 第一、私、まだヴァージンだし。愛人候補するほど
 経験豊富でもないしっ。


 失礼だしっっ。…なんてツッコミを入れたい口である。が、本題はもはや、そこじゃない。

 しんみりとした空気を払拭してくれるのはありがたいが、今じゃない、今じゃないでしょとにかく。




 「……そうじゃ、なくて。側近、以外で。のハナシ」

 『あ?側近?』


 「あーー────…、あの、カーフェイさん、って。側近以外に側使えみたいな、その、



 秘書
 とかいたり、
 するんですか?」


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