マフィアの弾丸





 ・・・・・こう言えば、彼らが
 ダンマリになることは、よく知ってる。

 そして、
 ソレ以上は前文で述べたコトは詮索
 しないことも、・・・・・・。




 『────…、あのナァ、そーゆーヤツはいねぇって……、』

 「…」



 『……チッ。もういい切るゾ』




 ブチッ。


 雑に通話を切られた私は、耳からスマホを離し、もとのホーム画面にもどった機器を
 数秒、見つめおろす。


 ・・・・わかってる、知ってる。



 こんなイジワルを言って、よくしてくれてる彼らを突き放そうとしてるのが、
 自分だってことくらい。


 彼らに非はない、私が、中途半端にさせてるのもぜんぶ、自覚してる。

 べつに「好きだ」って言われたワケでもなし、ただ、お昼ご飯をいっしょにするだけの、関係性。




 (……それって、なん、だろう。…友だち?)




 ────…さぁ、と冷たく凍えそうな風が首もとを取り巻く。

 寒さにふたたび、身を縮こませた私は、薄闇に翳っていく空にボンヤリと、意味もなく視線を上げて、




 「…………しん、…どぃ」



 大人になると、途端に、その関係性に明確な証明を欲しがってしまう。


 『友人』『恋人』『家族』『親戚』『近所』────、そんなカテゴライズに一体、
 どんな利益があるというのか。

 学生時代は、それほど気にもしたことが無かった、誰が誰と仲良くなろうが『友だち』『同級生』でしかなかったから。



 だけど、大人の年齢になると、『同僚』とか、『上司』とか、『どこどこ財閥』『どこどこ会社』とか。

 そんな
 枠をつくって他者との関係性を納得したがる。


 かくいう、
 ・・・・・私も。


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