マフィアの弾丸





 もう、気づけば当たり前になっていた日常。



 いつも通り朝食を食べて家を出、駅前までバスに揺られ終点の駅前で降車すると

 朝の雑踏のなか、電車を乗り継いでランドスケープを眺めながら一日のはじまりを迎える。


 通常運転のまま、アルバイト先のロッカールームに赴き、エプロンを装着して必要な
 貴重品だけを提げると

 地下の作業場に向かい、タイムカードを押して時間になれば、
 始業の(チャイム)が鳴るのが仕事のルーティーンだ。



 いつものこと、普遍通り。

 なんら支障のない、そう、不変的な毎日の日課。




 ・・・・・それが、突き崩されるなんて、
 おもってもみなかった、な。



 そして"それ"が、私にとっても思ったより大切な時間で、必要で。

 自分が考えてるより何よりも、楽しいモノでもあったのだとも。




 ────…お昼刻の、鐘の音。



 それが響けば、無意識に脚は外へと向かっていて。


 だけど、エレベーターに乗り込むまえに『あぁそうだ、今日は、…』と朝一のメールをおもい出し足先の方向転換。




 ・・・・・完全、に、そうである事が、『通常』になってた、な。




 お昼になればあそこに行くのが、当たり前、で。

 いつも通りアーウェイさんとの掛け合いをする私たちの傍らで、カーフェイさんが
 どこか、楽しそうに口角を上げていて。




 (………楽し、かった。んだよな。私、あんなふうに、学生の頃とかは
 砕けたこと、一度でもなかったし)



 いつも緊張して、

 肩肘張って、警戒して。


 こうしなきゃ、ああしなきゃ。

 こうであるべきなんだって、・・・・・。


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