マフィアの弾丸





 そんな、割とどうでもいい瑣末(さまつ)ごとを頭に巡らせるも、
 さすがに落ち着いては食べれないな、と判断した私は。

 人波でごった返す空間から引き上げようと踵を返しかけた、



 ────…刹那、




 「あれ、海屋(かいおく)さん?」



 先輩社員の伊周(これちか)さんがヒョイ、と横から顔を傾げ、
 声を掛けてきたのには、

 咄嗟に「ぁ、お疲れ様です」と低頭していつものように、挨拶を溢し顔をあげる。



 「珍しいね。いつもは食堂でいるところあんまり見ないんだけど。今日はここで?」


 「…ぁはい、まぁ」



 カーフェイさんたちはいないけど、たまには、ひとりで外でもいいか。なんて
 思い至ったところだっただけに、

 咄嗟のつくり笑いで彼女に、誤魔化してしまったので、それなら食堂で食べるしかないか。と踏んで、かるく首肯する事にした。




 「じゃあ一緒に食べる?ひとり席でいたら割と、面倒だしね。わざわざ、ひとり分席空けて座らなきゃなんないし」


 「ぁっ、はい。そうです、ね」

 「あそこ空いてるから座ってて。あたし食券で買うから」

 「はい」



 そう、さっくり指南だけしてクルリ、踵を返していった彼女にひそかに、カッコいいなぁ、いつも。なんて感嘆しつつ
 言われた席を確保して腰を落ち着けた。


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