マフィアの弾丸
そうして、こつこつと今日の分量の仕事に取りかかって、ひとつ一つ丁寧に
作業していき。
終業の鐘が鳴るとタイムカードを押して、
ロッカールームへ赴くべく、地下から上階に上がるエレベーターの箱に乗り込み一日の
主な仕事は終了する。
────…そんなふうに。
彼らと出逢うまでの『フツー』に、戻っただけのことで。
特別、波風が立つような事象があるワケもなく、営々と。
そんな日常を、ボンヤリ。
淡々と、ただごく普遍的に繰り返して気づけばもう、12月も半ばを切った季節になっていた。
世間はクリスマスのために躍起と賑わい、ショッピングモールや大手カフェでは
季節柄の飾りやBGM、クリスマス仕様に色を変えた売りものなどで潤っている様子である。
(…クリスマスか。もう、そんな時期なんだ)
ぽやんぽやん、と白い吐息を空気中に
吐き出しながら。
手袋もしていない肌の露出ある面を、むやみやたらに擦り合わせてそんなことを思う。
ハァ〜〜、ッと温かい息を
自分の冷えた両の掌に吹きかけても寒気はいつまでも、隙間を縫って
肌を凍えさせていく訳で。
仕方ないからジャンパーのポケットに、両手を突っ込んで電車を待つことにした。