マフィアの弾丸





 ・・・・・どこか。

 見覚えのある、長い車体。



 ちょうど、ホテルの裏口よりは向こうのほうではあるが、路上駐車で横付けにされた

 数台の、ぴかぴかな車輌もいっしょに視界に投影されて、首を傾げる。




 同時に訝り気に眉間を寄せるも、

 しかしそれどころでは無い緊急事態に足は、ホテルの裏口を目指して闊歩をすすめていく。



 社員証で入り口を解除。



 そうして急ぎ、上階に向かうためのボタンを押せば、
 どうやら誰かが降りたままそこに存在していたらしい。

 あっさり、開いたエレベーターの扉からすかさず乗り込むと、女子更衣のある
 ロッカールームのフロアのボタンを押し、


 はやく早く、と急かしてもどうしようも無いのに
 操作盤をかるく、睨みながら持ち上がる箱のなか嘆息した。


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