マフィアの弾丸





 もしゃもしゃ、フルーツサンドウィッチを頬張りながら、ありったけの

 反発をする私に、対抗するように横からぶつくさ言うから。



 静かに、お昼も堪能できないのが、なんだか哀切(あいせつ)きわまる話だけれど、




 でも、肩身が狭い。とは、
 一度だって不思議なことに、感じたことは無い。




 カーフェイさんは基本的に、(と言うか、髪散らかし男のほうが、主に、口の締まりが緩いのだが)あまり、口を開かない人らしく。


 彼の代わり。と言ってはなんだが、ごちゃごちゃと五月蝿(うるさ)いのが
 シルバーブルー頭の、ヤツに限るが。




 しかし、両者どちらにしたってきっと、お仕事柄、

 私以上に忙しいとは思うのに、このお昼の時間を欠かしたことは、
 今の一度だってないワケで。




 ・・・・・なんで、そうまでして私と、時間を割いて、
 過ごしてくれる、のか。



 好意を寄せてくれて、る・・・?なんて、(おご)った思考は、さすがに厚かましい、し持たないようにしてるし、


 まず有り得ない。




 ・・・・と、思う、さすがに無い。




 この人たちだったら、わざわざ自分から行かなくったって、立っているだけで芸術品のようである。



 誰彼構わず、ひとを引き寄せるし、寄り付かなくさせることだって、可能。




 こんな、芸術の神さまが精魂込めて造り上げたような、しなやかな美しさ、その上には人外の美貌がある。




 美しさだけじゃない、

 リムジンを遣わせているぐらいの、地位の高さだと推定すると、
 どれだけのお偉いさん。なのだろう。




 「────知りたい、」と思う反面、コワイという対極の感情も浮上する。




 もっと自分に柔軟性があって、磊落(らいらく)だったら?

 この際、奮って自らを省みて、中身を総取っ替えする事ができたら、




 ────…でも。



 知ったら最後・・・・、
 取り返しのつかない「ナニカ」で大きく、(つまず)きそうで・・・・・・、




 そう予測を立てだしたら、キリがないと解っていても、
 齷齪(あくせく)と頭がフル稼働する。




 ────…だから今日も私は、
 知らぬ存ぜぬで自らを誤魔化し、
 蓋をする

 境界線の、一線を、
 超えてしまわないように


 臆病者


 だけれど私は、
 臆病であるからイマの自分の弱さに、
 ひたむきに
 取り組むことができるのだと


 そう、
 逃げることにして────…


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