マフィアの弾丸
そうして同時に悟るの────。
彼の方は、いかようなレディに対しても平等に愛を囁いていらっしゃるくせに。
その実、どなたも愛することは決して、まかり間違っても、ありはしないのだと────。
ただ、誰もが"平等である"からこそ。
彼の方との一脈をもてるチャンスは、一介の貧民よりは機会をもうけて頂けやすい。
そう、
────…信じていた。
────数メートルほど先の公園という公共の場で、アーウェイ様はわざわざ、目線を彼女に合わせて、まだ、なにかを話しかけていらっしゃる。
その表情は、少女のことを慈しまれるような含みをのせて、わたくしたちには決して見せてくださらない気遣わしげな所作で。
顎に添えてあった指先を、こんどは、彼女の丸い頬に充てがわれ、手の甲で柔らかく撫でておられた。
・・・・・喜怒哀楽。
あんなふうに、表情筋を豊かになされるお方だった?彼の方は。
すべての一挙一動が、これまではカーフェイ様にのみ傾倒されていらっしゃったハズ。
だからわたくしも、それほど危機感を持たずして茉美子様さえ凌駕できたのならば、彼の方々と足並みを揃えていける。
そうなのだとばかり思い込み、高みを目指して、敬服する茉美子様を目標に、
安堵して、
それ、が。
・・・・・あんなっ、小娘?
あの、せいぜい一般人としか言いようのない小娘にあっさり、目標としていた地位を掻っ攫われ、阻まれてしまった。
なんて、無様な。
確実たるわたくしの落ち度。