マフィアの弾丸
──────────
─────





 体調がわるい時にかぎって、環境も、それ相応に多忙さを極めていく。




 ────…今日はホテルに、団体客といっしょに、主催側のイベントが大掛かりに催されるおかげでその
 下請けで働く私たちの作業場も、朝からてんやわんやだ。



 下請けとは言いつつ、実質、ホテル側から事業所にお願いして
 地下に作業場を設けてもらっているので、




 ・・・・先輩曰く、ホテル側の従業員は工場のほうに
 頭が上がらないのだとか。




 詳細な経営に関しては、一アルバイトの私には、よくわからないのだけれど。



 ともかく、急な申請だったために、今日中の量を熟さなくてはならなかった作業量が、
 体調が万全でない
 今日にかぎって、突発的に舞いこんできたということ。




 私たちの仕事は、ホテルのバスローブやシェフたちが着る制服、ズボン。

 椅子のカバーだったりを、大型の洗濯機で洗い上げアイロンをかけた後は
 規定に沿って、畳んでいく。



 そのほかにも、雑巾だったり、シーツだったり。

 さまざまなホテルのリネンを扱う仕事を請け負っているのだけれども、




 (……、ハァ、今日にかぎって。多い、…からだしんどいから、頭……まわらないし)




 周りの社員さんも、唐突な依頼にはさすがに機嫌が急降下。



 「急に言われても困るわよ、まったく」「事前に確認しておいてください」と、制服に身をつつんだホテルマンたちに
 憤慨している様子だ。


< 42 / 140 >

この作品をシェア

pagetop