マフィアの弾丸





 それでも、なんとか急場をしのがなくてはならない訳で。



 早急に必要な分量を先に作業し終え、そしてのこり、今日中の配分に取りかかるほうが至当(しとう)だろう
 というところで結論づいた。




 お昼までには午前の分は、なんとか、間に合いそうだったけれど、午後の分は
 ペースアップしたほうが良さそうだ。なんて。



 しんどい割には、逆に、客観視できる余裕もあるので
 まだ、限界というほどではないのかもしれない。と自分を
 どうにか奮い立たせる。




 ────…それでも、頭がグワングワン、と揺れるように痛いことは
 変わりない。




 結局、お昼も食べる気が起きなかったので
 食堂はもちろん、────カーフェイさんたちのもとにも
 行っていない。


 行けないときは必ず連絡しろ、と念を押されているから
 一応、メールのほうで一報は伝えた。




 ・・・・・帰りも、今日はひとりで帰りたい。と付け足して。




 ちょっと、今日はほんとうに、誰に会うのもしんどい。



 偏頭痛のせいなのか、ただ考えすぎの知恵熱のような類いのものなのか。

 自分自身の卑屈さとか、悲観さとか、自分に対しての迂遠(うえん)な自分が
 浮き彫りに見えてきてしまって、




 (・・・・今の私、って・・・これで良い。の、かな。ダメじゃん、まだ頑張らなきゃ。昔はもっと死ぬ気で、自分を押し殺して、我慢してた、忍耐してた。今の自分じゃ、



 ・・・・・弱いまんまだよ)




 そんな、声が、聴こえる。

 聴こえるの。




 いつもの調子を取り戻せない。




 笑うのも疲れるし、そもそも、笑って誤魔化すのにも疲れてしまった。

 意気込むことにも剣呑(けんのん)とした鬱屈が、頭のなかの
 わずかな理性を苦しめる。


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