マフィアの弾丸
エレベーターの階数の電光が、2Fで到着すると、左手の通用口を押し開いて
赤絨毯の廊下を、駆け足で踏みしめていく。
あぁ、
頭が、余計に痛い・・・・な。
いまだに、金槌みたいなもので叩かれているような頭痛が引きつづいてるせいで、脳が正常に働いてくれない。
覚束ない足取りでロッカールームまで赴き。
グワングワンする頭をすこしでも、楽にできるよう、手の平をこめかみに当て擦ってマッサージ。
・・・・・なんて事を
してみるけれど、
そんな気休め程度で痛みが払拭されるワケはなく。
(………ハァ。しんどぃ。…帰らな、きゃ。…………早く)
帰って、お風呂に入って、
ご飯、食べ・・・・・・、
「…っ、」
ロッカーの引き手側についた、まるい鏡にうつる自分の、ひどく、
気疲れしたような顔つき。
化粧っ気のなくて、それなのに、体温が上がっていると
ムダに、血色は良くなるコンプレックスの塊である、自分の丸い頬。
・・・・・飾り気なんてなくて、よくこんな形で、
あのひとたちに会えてたもんだ。
あぁ、っっもう。
いやだ。
こんな自分。
(────…帰り、たく、………ない)
目頭が。
熱く、なった。
家に帰って、も。
実質、私の自宅ではない。