マフィアの弾丸
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 ノスタルジックな音楽と、(おもむき)のある某コーヒーチェーン店内の、席の一角で。

 ひとり、ちょこんと座りながら頼んだフラペチーノをコクリ、喉に潤し味わう。



 学生の頃には、なんとなく、入りづらかった大人向けのそこは、大人の年齢になるにつれて人目を(それほど)気にしなくもなってきて。



 あるとき、ふっと立ち寄ってみると、客層もわりと少数での来店や、
 なかには、ひとりで悠然と。



 堂々と。


 席に着いて各々の時間を過ごしているひとが多いらしい、と知ると、
 私も勇気をもって入れたりもして。




 ────…そんなことを懐かしく考えながら、紙ストローでなかのホイップクリームと融合した苺かき氷のような飲料を、
 ちょびちょび啜っていくのだけど、




 (……、休み。たいな)




 こうして座っていても、からだが休まるわけじゃなし。

 だからといって、家に帰ったところで家事の手伝いや、家族なのに家族に気を配ることもしんどく思えてくるほどに今、



 ・・・・なんの余裕もない。




 店内にはゆったり寛げるソファとか、落ち着いた照明とか、長居したくなるようなインテリアも、魅力なのだとおもうけれど。

 あくまで、ひとときの時間の寛ぎであって、やはり、『家』という自分だけの空間があることが、ある種、必要になってくるもの。




 ・・・・・なんて。




 なんて、────…マイナス思考なのか


 こんな自分が、

 たまに本当にイヤになるんだ


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