マフィアの弾丸
そして、しんどいときに限って、断ることができない自分にも────…。
「………、」
無言で、一心に溶けたフラペチーノを飲み干して。
ほんのすこし、ラクになった頭痛にホッと内心で安堵しつつゆっくり、席を立った。
プラスチックカップやフタ・ストロー、紙類、と、振り分けられたゴミ箱の穴に、それぞれ
捨てていって。
店員さんの「ありがとうございました〜」という挨拶に、かるく、会釈だけをかえして
背を向け自動ドアをぬける。
白い息、冷たい空気。
ほう、と吐息を、意味もなく吐きだしながら冬の風物詩をぼんやり眺めていたところに。
ぶぶぶ、とサイレントにしたスマートフォンから、着信の振動がつたわったので、咄嗟に、電話に「…はい、」と。
急ぎ足で出てしまった。
でもおもえば、それほど切迫して出る必要もなかったかもしれない。
なんてことに今さら、
気付いてふたたび、気疲れの息がこぼれてしまった。
『────もう着いてる。イマどこだ?駅のほうに来れるか?』
「ぁ、…あ、はい。今行きます」
『ソッチの国道に出てもい、』
「いや、それは結構です。そっちに行きます、今から行きますからいつものとこで待っててください」
やや雑に切り返して最速にぶつり、と切ってしまったけれど、さすがに、国道側に来られると繁華で人目が多いのでなんとしても、阻止だ。