マフィアの弾丸





 そこまで思案し、無意識にぐっと寄っていたのであろう眉根が力みすぎてか、


 妙に目のつかれをおぼえたアーウェイは、少女に渡っていた指先を自身の眉頭にもっていき

 グニグニ、ほぐしていく。




 ・・・・若干、
 痛痒いぐらいでちょうどいい。



 そんなふうに雑に、セルフマッサージをする男は小綺麗な顔を
 それでも顰蹙(ひんしゅく)させながら、

 もう片方の手の指は、足枕に寝かせている伊万里の頬に
 なめらかに滑らせていく。



 柔らかで、まるく曲線を描く少女の素肌には、一切の化粧すら乗せられていない。



 それが絶妙に潜んだ本能をくすぐり、

 噛みちぎってしまえたら、と無粋にはたらく衝動が彼の下半身をもドクドク、と脈打たせはじめるので
 なんとも、たちが悪い。




 (……ンあーー、クッソ)




 沸き立つ欲求を、意地でも誤魔化すために煙草を一本、懐からとりだし唇に挟んでみるも、


 伊万里が喘息もちだという理性が脳に浮上すると、(たちま)ち彼は、「チッ」と盛大な舌打ちをこぼして吸ってもいないソレを、吸い殻入れに放り込んだ始末。


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