マフィアの弾丸
寝かせられていた自分のからだには、上質そうな鴉色の皮コートがかけられていて。
私が起き上がった瞬間、スル、とそれが重力によってソファー下に落ちそうになったので
慌てて拾いあげるけれども、視線だけはまわりに釘づけだ。
ジ、と180度、360度一周してまでも見渡すここはまるで、お金持ちが借りる別荘である。
・・・なんて事を
呑気に、脳内に掲げていた私だが
(…何人掛けのソファー?こんなおっきなソファーの端っこで、私……寝てたの?)
大理石柄の模様があしらわれた、高級そうな(凡そ)8人掛けぐらいのソファーは、
クッションもしっかり、
セッティングされて広々と、リビングのど真ん中を横長に、占めている。
床も大理石ではあるのか、ソファーのまえに置かれた硝子テーブルもある程度長く、
設けられていて。
その硝子テーブル上には、
美味しそうなアフタヌーンティーセットが艶々と。
食欲をそそるような香ばしさを
広げていた。
「えっ。……なん、でここに、いるん。だっけ」