マフィアの弾丸
両側にはガラス張りの窓が、天井までつながり、扉としても
併用できるようデザインされている感じである。
目のまえには、天井から大理石の床下まで縁取られた奥行きがあり、
液晶ビジョンが大々的に設置されていて。
木目柄の天井には、ダウンライトが室内の空間を照らしだし、
背後には観葉植物と、すこし奥行きをもたせた和紙柄色の壁として成り立っている。
左を向けば、どこぞのリゾート地のように敷地を設けたプールの水面と、緑豊かな自然の風景すらうかがえる芝生、森林が
とても、広大。
・・・こんな、とこに。
自ら赴いた覚えは、・・・・・さすがに、
無い。
「……、待って。帰った?違う帰ってない。たしか、確か頭痛くて、アーウェイさんに車乗せてもらって、
…ぃ、ぇえ?それ、そっから?」
と、とりあえず状況整理しよう。
ま、まず整理整頓しよう?伊万里。
いや待てまったく記憶がない、
いやいやいや、
・・・・そもそもソコがおかしい。
なぜ覚えがない?車に乗りこんだまではなんとなく、記憶にある。
それで、何かアーウェイさんとごちゃごちゃ話して。
それで・・・・
それから・・・・・・・、
っえ、待って。
勝手に侵入しちゃった?
いやいやそんな非常識なことは、さすがに頭が痛くて、しんどかった
にしてもしない。
通報されるでしょうよ。
あまりにおかしな非常事態に、必死に記憶の頼りを巡らして目を右往左往させたけれども
まったく、思い当たる節がなく。
再び頭を抱えてしまう羽目になった困惑する私の耳に、
────…ふと、
パタンッと扉の閉まる音と、
人の気配がして────…、
「────あぁ、目ぇ覚めた?」