マフィアの弾丸
私は素早くソファーのクッションと、今まで掛けられていた男物のコートで
自分の身を守るべく、ガード態勢を敷く。
咄嗟に距離をとり、
きゅっと眉を顰めて睨んでみたのだが、
「痛てっ、」と顔面を片手で
覆いながら、
鋭い純銀イロの眼光で凄まれたものだから、反論すべく「…すぐ、手を出してくるから
こうなるんです」と。
・・・・・若干、
いや、
・・・・・若干ね?
逃げ腰ではあるものの、
堂々たる姿勢で胸張って彼に対峙するのに、内心は、もう、
…とてつもなく心許ない。
(……いや。だって、タールの高そうな煙草を口端に挟みながらの威圧感満載に凄んでくる超絶美形って。……けっこう、
いや。ほんとに、かなり迫力があるのよ)
お主ヤクザか?死神か??
────…否、ヤクザの職業人であろうことは、その風貌で何となく
予想はつくけれども。
・・・・・なんて
頭でひとり小芝居を打っている私も、傍から見れば
相当、イマジネーションに長けてる
変哲な人間なんだろうが。