マフィアの弾丸
────それは、ともかくとして。
「…て言うか、何か仕込んでたでしょ。車のなか」
「あ゛ぁ?」
「…っグ」
相当、痛かったのか。
思わず奇声をあげてしまったのには、致し方あるまい。
何せ、忌々しい。とでももの申したげに麗しいそのお顔を顰蹙しなさってる
ものだから、
私のことを卑しめるような凄まじい貫禄で、もう、猛獣ですらも
泣きつきたくなるほどの風格である。
・・・・・し、しかし。
めげてなるものかっ。
「だっ!……ぃ、…ぁのリムジンになんか仕込んだでしょっっ」
物は言いようだ。
言ってしまえばガン飛ばしから逃れられる!
「す、す、睡眠薬!か何か!何か刺激臭みたいなのした!!」
「────ってぇーなオ゛イ」
「……………
………………………………すみません」
・・・・・・やっぱムリだった。
グイッ。顎を引き上げられては無力な私に逃げ場は無い。
勝ち目もない。
ソファーの背もたれから思いっきり、土足で乗りこむ勢いで
顎を見事に、掬われ。
挙句の果てに、上裸の肉体美に乗りかかられたからには、もはや、白旗である。
ギブ。
ギブアップ。
That's give up!