マフィアの弾丸





 ────それは、ともかくとして。




 「…て言うか、何か仕込んでたでしょ。車のなか」


 「あ゛ぁ?」

 「…っグ」



 相当、痛かったのか。

 思わず奇声をあげてしまったのには、致し方あるまい。



 何せ、忌々しい。とでももの申したげに麗しいそのお顔を顰蹙(ひんしゅく)しなさってる
 ものだから、


 私のことを卑しめるような凄まじい貫禄で、もう、猛獣ですらも
 泣きつきたくなるほどの風格である。




 ・・・・・し、しかし。

 めげてなるものかっ。



 「だっ!……ぃ、…ぁのリムジンになんか仕込んだでしょっっ」



 物は言いようだ。

 言ってしまえばガン飛ばしから逃れられる!




 「す、す、睡眠薬!か何か!何か刺激臭みたいなのした!!」




 「────ってぇーなオ゛イ」



 「……………

 ………………………………すみません」




 ・・・・・・やっぱムリだった。



 グイッ。顎を引き上げられては無力な私に逃げ場は無い。

 勝ち目もない。


 ソファーの背もたれから思いっきり、土足で乗りこむ勢いで
 顎を見事に、掬われ。

 挙句の果てに、上裸の肉体美に乗りかかられたからには、もはや、白旗である。



 ギブ。

 ギブアップ。


 That's give up!


< 79 / 140 >

この作品をシェア

pagetop