マフィアの弾丸





 ぶつぶつ独りでに、喋ってしまうのは、速るこころを自分でも認めたくないから。なんだけれども、



 それはともかくとして。

 この状況下はさすがに、いただけないよなぁ…。とか自分なりに慰撫(いぶ)しつつ、


 改めてアフタヌーンティースタンドに乗っかった艶々な高級洋菓子たちを、
 じっくり、目に映し込んでいく。




 (えぇ〜……、美味し。そう…)




 上段には各々アレンジの効いたモンブランが5つに、お洒落なアンティーク調のミニ袋で仕切られたマカロン2つ、ブランド名のはいったチョコレートが3つ。

 スタンド中段は、ごろっとしたマロンを直に、使用したタルトに、筒状に固めたチョコレートにぎっしり詰まったモンブランのピスタチオがけと、テリーヌ。

 下段に、チーズクリームのボローバンが2つに、サラミのオープンサンドが一切れ、小さなナプキンが添えられたプレーンスコーンが4つほど。




 ・・・・・と。



 アフタヌーンティーセットの呼称が丁寧に記載された品目表が、いっしょに
 添えられていたので黙読していた次第であるが、

 どうしようにも、その彩りと芳醇に、ゴクッと喉が物欲しく鳴ってしまう。



 朝からなにも食べていないのだ。

 もっと言えば昨日の晩からなにも口にしていない。


 そこまで黙考して、



 「……あっ」


 ふと、ある問題事態に気が付いた。




 (…母さんに電話して、……なかったよね?)


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