マフィアの弾丸





 しんどい、しんどいよ父さん。

 私どうしたら良い?




 ・・・・・ううん、違う。



 脱却する方法は自分がいちばん、知ってるのに。

 新しいものを取り入れることが、コワイだけ。



 今の自分ソノモノを受け入れたら、前の自分は?

 これまで苦労してきた過去の自分(わたし)を、蔑ろにするんじゃないの?


 いつもそうやって、何度もつまづいて、過ちを繰り返してきたんじゃないか。




 だから、『自分を、ラクさせてはいけないよ』ともう1人の自分が私に、
 語りかける、いつものように、赦してはイケナイんだと。




 「っはぁ、……っっ」




 帰って母さんの家事の手伝いして、母さんもパートで疲れてるのにいつも、
 私たちのために犠牲を払ってくれてるから、とか。

 祖父母に笑顔で「ただいま」って挨拶して、当たり前の日常でいなきゃ、とか。



 自分は居候だし、とか、やりたいこと・・・・我慢、
 やりたい事?私のやりたい事って、なんだっけ。



 わからない。

 何もわからない、自分なのに、



 自分の感情の整理すらつかない、自分の欲しいものすら分からない、些細なお菓子を選ぶことすら値段に囚われて真実を視えなくする。

 自分のやってみたい事も、『覚悟ないのにやるの?』と声が聞こえ、
 できることに繋げた自分の選択には『また、そうやって出来ることに逃げる』




 ・・・・・そんな。

 まるで信憑性のない悪魔の声に、私は、それが真実であると悟ったフリをして、
 自分自身のことを、押し殺す。




 そうやっての手段しか、
 そう、生きるしか

 なかったから────…、


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