マフィアの弾丸
すっかり、スッポリ頭から抜けていたけどそう言えば母に、連絡しようと思っていたんだった。
謝ったかとおもえば、忙しなく
大声を出したものだから。
目の前のカーフェイさんも
宝玉のように濃い、闇色の目をまん丸く
喫驚の様子を醸して私のことを見下ろしていて。
「…あ。すみませ」
「……どうした」
「いや、えっと…」
すぐ後ろのソファーでは悶絶しっぱなしだったアーウェイさんが、
「…っるせェなァ」とドスの聞いた声で反論してくるけど、
それには知らぬふりを通しつつ、
「……あの、で、電話って。貸していただくことは」
できないですか?
そう、続けようとした言葉尻を素早く、拾い上げたのは、
─────痛みに悶絶していたはずの、彼のほうだった。
「─────あぁお前の家族には夕べおれが連絡しといたから安心しろ。『お嬢さんを丁重にこちらでお預かりさせていただきます』ってな。…フッ。まぁお前『お嬢さん』って柄じゃねーけど」
「一言余計。……ってか、……
えっ!?!連絡したの?!!」
「だからそー言ってんだろ」