マフィアの弾丸
「………何。かって、」
「…言いたくなければいい、べつに。無理強いはしない」
食べるか?なんて、それまでのシリアス展開はそっちのけに、矢継ぎ早に
目の前に置かれたアフタヌーンティースタンドを指したカーフェイさん。
相変わらず、
我が道をいくマイペース自由人の猛烈美丈夫さんだ。
今日も、目も冴えるようなオールバックにされたグレーブラックの髪と、
コートといっしょにバッチリ、決まったスリーピーススーツ姿。
・・・・・の、
衿もとの鈕とネクタイは、なぜだか開いてる、そこから覗く白皙の素肌。
着崩され、それだけのアクセントでも
彼を気怠げな色っぽさで仕上げているまさしく、美の彫像である。
いや、かなり年上だけど。
なんなら、お父さん並みな落ち着きっぷりだし
たぶん、私に見せる姿と外で見せてる姿もちがうんだろうけど。
「…ぃ、いただき、ます。……」
「あぁ」
「ぇっ、ほんとに頂いていいんですか?」
「おうおう好きに食べろや」
「……あなたには聞いてません」
「てンめっ、随分とカーフ贔屓しやがってコレ用意させたのおれだぞ」
「それは、…ありがとうございます」
あったく調子いいヤツだなオメェはよぉ。と、あたらしく咥えなおした煙草を、ぷらぷら唇で遊ばせながら
私の返答に切り返してきたアーウェイさんは。
そのまま、ぎし、とソファーに深く腰かけ横柄に、その肉体美を晒しながら
「ん゛あぁ…」と唸り声をあげて天井を仰ぐ。
これ以上は視界に収めていても、目に(ある意味で)毒なので、フイと
視線を逸らし硝子テーブル上の洋菓子をせっかくなので、
吟味することとした。