神獣の花嫁〜いざよいの契り〜
側妻(そばめ)にはならぬということだな」

「貴方様の御子は、必ず産みます」

「ああ。……それで十分だ」

触れる手も、呼ぶ声も。記憶には残る。

肌を熱くする想いごと、欲にのみこまれて。心は彼方にあると、思いだせるだろう。

「……尊臣様……」

名を支配することを、霊力のある身の自分が(ゆる)されたのだ。
それだけで、十分。



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