クズで噂のヤンキー君のことだけは絶対に忘れたくない
「女を取っ替え引っ替え。あと、喧嘩ばっかり。関わらない方がいいよ」

「え? でも昨日私お喋りしたよ? あの人と」

「え? 何を喋ったのよ」

「少し前に倒れてた所を見掛けて保冷剤をあげたんだけどね、そしたら昨日そのお礼をしてくれようとまた会いに来てくれて…。‪”‬彼女にしてやるよ‪”‬って言われたの」

葉月の顔が面を食らったようにキョトンとなる。

かと思いきや、今度は考え込むように顎に手を当て、ボソボソ呟いた。

「ん? ‪”‬彼女にしてやるよ”‬?? なにその上から目線…」

「あ、でもね不思議なの。私のこと好きなの? って聞いたらそういう訳ではないっぽくて…」

普通好きな人に言うやつだよね? あれ。

ほんとに意味が分からない。

どういうことだったんだろう?

「わー、それもう絶対結乃のこと暇つぶしに使おうとしてたんじゃん。うわー、こんなか弱い乙女をターゲットにするなんて……結乃! 騙されたらダメだよ!? ただでさえ結乃は天然で、ちょっと抜けてるとこあるんだから! ちゃんと警戒心持って!!」

「暇……つぶし…」

優しい人に見えたけど…、そっか…。

女の子取っかえ引っ変えしてる遊び人さんなんだ…

うーん…

好きでもない女の子全員に、同じように‪”‬彼女にしてやるよ‪”‬って言ってるのかな…?

少し考えて、私は席を立った。

「ちょっ、結乃!? どこ行くの!?」

「私ちょっと、注意してくる!」

「えぇ!?」

私は1人教室を飛び出した。
< 13 / 39 >

この作品をシェア

pagetop