クズで噂のヤンキー君のことだけは絶対に忘れたくない
怜央(れお)side】

教室に近付くにつれて俺に飢えた女どもがさっそく集まってきた。

「あ! 怜央だー。今日の放課後、私と遊んでよ」

「私の方が前から約束してた! 私と遊んで! カラオケ行こうよ!」

そう言って1人が腕を組んできた。

あー、今日は気分じゃないんだけどな。

てかこの女、香水くせー。

そもそもなんて名前だっけ。

あー、出てこねぇ…

「ねー怜央ー、いいでしょー? 遊ぼ?」

甘ったるい猫撫で声を発しながらさりげなく俺の腕に胸を当ててきた。

そんなんで誘惑してるつもりなのかな。

はは、だとしたらかわいいな。

「パス」

「えー!?」

正直女に困ったことは人生でただの1度もない。

前住んでいたアパートが取り壊されることになって、引っ越しと同時にこの学校に転校して来たが、どこの女も大体似たようなもんだな。

前の学校の女達も俺に尽くしてくれてたし、そこそこ良かったんだけど飽きちゃった。

『本命にして』って泣いてきた女もいたっけ?

しつこかったし、うざかったなー。

あと逆上して、カッター出してきた女も。

しまいには一緒に死のうとか言ってきたメンヘラ女もいた。

両親は海外で仕事していて年に2、3回しか家に帰らない。

つまり俺は遊び放題って訳。

何かに本気になるとか、そういうのまだちょっと分かんないんだよね、俺。

この世でたった‪”‬1人だけ‪”‬を愛する、とかバカのやる事だろ。


飽きたら、ポイ。

特定の彼女は作らない。


これが俺の美学​───────。
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