クズで噂のヤンキー君のことだけは絶対に忘れたくない
「うーん…、私はまだないけど…、自然と好きって気持ちが溢れてきて、相手に触れたい、とか、愛しい、とか…? そんなふうに心から思った時が ‪”‬恋‪”‬ なのかな?」

それだけ言うと、結乃は駆け足で去っていった。

「何あの子…怜央、知り合い?」

「相当頭イカれてたね」

「…」

…アホらし。

ただの綺麗事じゃねぇか。

聞いて損した。

そう、思いつつも…

その日1日。

なぜだか結乃の言葉が妙に頭に残っていた。

それは授業中であっても休み時間であっても変わらなかった。

自然と好きって気持ちが溢れてきたことなんかねぇのに。

相手に触れたい、とか、愛しい、とか。そんなふうに心から思った時なんかねぇのに。







………変なの。


***

「よぉ、宮瀬。昨日は派手にやってくれたなー」

学校が終わって、ちょうど校門を潜ろうとした時だった。

派手な金髪頭が校門にもたれかかりながら気だるそうにこちらを見ていた。

こいつは同じ2年の柿花大吾(かきはな だいご)

1ヶ月前にタイマン張って、俺が人生で初めて負けた相手に他ならない。

まぁ、昨日ボコボコにやり返してやったけど。
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