クズで噂のヤンキー君のことだけは絶対に忘れたくない
「…なんの用だよ」

あー、めんどくせぇなー。

「昨日ので俺を倒した気になるなよ」

思いっきりぶっ倒れてたじゃねぇか。

と、思ったがお互い様か。

「俺とタイマンだ」

「懲りねぇ奴だな、またかよ…」

***

俺達は人目を避け、校舎裏に移動した。

「昨日自分がしたこと後悔させてやるよ」

「あ? やり返してやっただけだし」

柿花の顔面は昨日俺が殴った跡が複数目立っていた。

「俺にやり返すなんて100年早いって言ってんだよ」

「あー、まじめんどいわ」

次第にその気になってきて、腕をまくった。

「テメェからこいよ?」

人差し指をクイっと曲げて、挑発すると柿花が拳を振り上げた。

「じゃあ、遠慮なく」

その拳を受けようと構えていると。

「待って!喧嘩はやめ​────…」

俺と柿花の間に誰かが飛び込んできた。

俺を柿花の拳から守るかのように両手を広げる人影が視界に映る。

直後のこと。

「きゃっ…」

ドン!と鈍く、激しい衝撃音が鼓膜に届き、人影は力無く地面に倒れた。

「おい! タイマン張ってんだ! 邪魔すんな!」

柿花の怒鳴り声が空気を裂く。

はっ…、こいつ……っ!!
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