クズで噂のヤンキー君のことだけは絶対に忘れたくない
「男同士の喧嘩に割って入るとか、バカじゃねぇの」

「だって…喧嘩はいけないことなんだよ?」

「いや、知ってるし」

「知ってて……やってるの?」

「いいだろ、強い方がかっけぇんだから」

「つっ、強くなくても! 宮瀬くんは素敵な人だよ!?」

「…っ」

なんだよ…調子狂うな。

「女取っかえ引っ変えしてんのに?」

今朝、自分が俺に言ってきたこと忘れたのか?

「きっとそのうち改心出来るから大丈夫だよ!」

勝手に俺の心改めんなよ…

と思いつつも、あまりに必死な目つきで言われたのでそれ以上は上手く返せなかった。

それから保健室に到着したはいいが、ドアに【職員会議中】の看板が掛けてあり、中には誰もいなかった。

ベッドの上に結乃を下ろして、冷蔵庫へと向かう。

「わっ! 土足! 宮瀬くん、靴脱がないと先生に怒られちゃうよ!」

せっかく人が心配してやってるってのにわーわー騒ぎ出したので仕方なく靴をその辺に脱ぎ捨てる。

「はいはい、脱ぎましたよ」

「あっ」

しかし俺が脱ぎ散らかし、放られた靴を見てまた何か言いたげな顔をした。

「まだ何か?」

「靴…っ、ちゃんと揃えないとお母さんに怒られちゃうよ!」

「母親海外だからいいの」

「でも…っ」

あー、しゃあねぇなぁ!!

最終的に靴は保健室の隅に寄せ、ご丁寧に靴裏まで上に向け揃えてやった。
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