クズで噂のヤンキー君のことだけは絶対に忘れたくない
保冷剤のこと…か。

「そんな…、お礼なんていいですよ…っ」

「そうはいかない」

キッパリとこう言い放った彼は続けた。

「俺の顔面、控えめに言って神だろ?」

「神……あっ、うん! 確かに神…かな」

やっぱりこれだけかっこよければ流石に自覚あるよね!

「へぇ〜、素直じゃん」

「素直…、そう、かな?ありがとうっ」

「どういたしまして。で。名前なんていうの?」

「西野結乃……です」

「結乃……」

急に物憂げに名前を呼ばれ、肩が跳ねる。

友達に呼ばれるのとも、お母さんに呼ばれるのとも、少し違う。

もう呼ばれ慣れてるはずなのに、彼の声に乗せられているだけで、少し違って聞こえた。

「結乃」

「は、はい!?」

改めて呼ばれ、大急ぎで返事をする。

すると、思ってもみなかった言葉が飛んできた。

「俺の彼女にしてやるよ」

「彼女…?」

1拍置いて首を傾げた。

「俺が前、微笑みかけてやった時ドクンってしてただろ?」

「どくん……」
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