クズで噂のヤンキー君のことだけは絶対に忘れたくない
彼に微笑まれたあの瞬間、胸がドキドキして、胸が苦しくなった自分を思い出す。

あの日だけじゃなくて別の日も。

思い出す度、同じ症状に見舞われた。

思わず食い気味に賛同する。

「確かに! してた!」

「だろ?」

なんで分かったんだろう!すごい!!

もしかしてこの人、超能力者…っ!?

「だから、彼女にしてやるよ。光栄だろ? 嬉しくて、胸がはち切れそうだろ?」

胸が…はち切れ……?

「うーん…それって…、私のことが、好き、ってこと??」

一応聞いてみる。

すると1拍置いてこう返ってきた。

「さぁ? どうだろうね」

えっ? 好きじゃないの?

頭の中が「?」で覆われていく。

この返事…好きじゃない、っぽいよね…?

好きじゃないのに、彼女…??

どういうことだろう…?

「とにかく俺むっちゃモテんだよね。時には俺に抱かれたいって女が連日ゴミのように殺到する日もあるし、彼氏としては正直最高じゃ​────」

ーーピコン!

彼が話している時、スマホにお母さんからメッセージが入った。

【雨降りそうだから洗濯物取り込んでおいてくれない? 今日ちょっと仕事長引いちゃいそうで…】

雨…?
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