君に会うために僕は
昼休み、私とルナちゃんは学食へと足を運んだ。
「…すごい。人気だね…」
ルナちゃんがちらっとこちらを見ながら言った。
「…どうしようか」
学食は学生でごった返している。本来であれば待ち合わせなどしっかり場所を決めていなければ難しいだろう。しかし、優斗先輩のことは一発で見つけることができた。
「山之内先輩!すごく人気だよ!」
そう、先ほどルナちゃんが人気だといったのは学食ではなく優斗先輩のことだった。優斗先輩は比較的身長が高いほうなのでどこにいるか見つけることはできたが、目立っているのは身長ではなくその周りにいる人の多さだった。予想通り彼は人気のだったらしい。しかし、女子にだけでなく男子にも人気があるとはさすがだなと感じた。
「あ、手振ってるよ」
こちらに気が付いたのか、優斗先輩が手を振っていた。
それと同時に優斗先輩の周りを囲んでいた人たちの視線もすべてこちらに集まる。
視線が痛い。特に女子の視線が。
周りの男子生徒たちは優斗先輩をからかっている様子だった。
「いや、ごめんね。学食いるとさ、人集まってきちゃうんだよね」
優斗先輩は笑いながら味噌汁を一口すすった。
「祝い事とかあるとね、奢りたくなっちゃってさ。誕生日とか、試合に勝ったとか…。祝い事って祝われるほうもうれしいけど祝うほうもうれしいだろう?だからついついいろんな人にね、しちゃうというか…」
「優斗先輩は誰も彼もにしすぎなんですよ。限度ってものがあります」
「なんか申し訳なくなってきました…」
「ルナさんはいいんだよ!この学校に来ての紗月初友達だ。幼馴染として歓迎しないとね」
私もこんなことを言いながらも結局優斗先輩にご馳走してもらっていた。私はきつねうどん。ルナちゃんは味噌ラーメン。申し訳ないと口にしながらもルナちゃんはラーメンに夢中になっていた。
…まるでヒマワリの種を口いっぱいにしているハムスターのようだ。可愛い。
「おいふぃいです…」
「はは、ルナさんは美味しそうに食べるね。何度でも食べさせてあげたくなるよ」
「優斗先輩…」
優斗先輩のそんな発言にあきれながらも、改めて人望がある人なんだと再確認した。お金だけじゃ人は集まってこないと私は思う。もちろんそれで近寄ってくる人もいるだろう。だけど、お金だけを見せびらかしてくる人は正直一緒にいても心地よくない。優斗先輩の優しさだったり、明るさだったり、いい所があるからこそあんな風に人が寄ってくるのではないだろうか。そうじゃなきゃ、あんなに楽しそうにからかったり、他の女子に対して敵意を向けてくるとは思えない。
「まぁ、やりすぎはよくないですけど、優斗先輩だからみんな集まってくるんですよ。みんなきっと優斗先輩がいい人だって知ってるんです。誇っていいと思いますよ」
「…紗月…」
優斗先輩はこちらを向いて嬉しそうに微笑んだ。
…それに気づかないふりをして、私は目を伏せた。
「そういえば、優斗先輩。話って何ですか?」
「…え?あ、そうだったよね。話…そう話があるんだった」
危うく優斗先輩の話に流されて本題を忘れるところだった。
「部活の勧誘をと思ってね。紗月、もうどこかに決めたかな」
「いや、まだ決めてないですけど…。今日、ルナちゃんと見学に行こうと思っていたんです」
「へぇ、ルナさんはどこか気になっているところがあるの?」
「…ふぇんもんふふぇふ」
「なんて?」
ルナちゃんはちょうどラーメンを啜っていたところだったので、急いで食べ物を飲み込み水を飲むと、改めて言い直した。
「…天文部です」
「え!本当?実は僕は天文部でね!すごいタイミングだ」
「!本当ですか?是非放課後見学に行かせてください」
「もちろんだよ!ってことは紗月も一緒に来るんだよね。嬉しいな」
二人がキラキラした目でこちらを見た。
たった数秒のことで止める隙もなかった。…先輩の部活動には見学さえも行くつもりはなかったのに。ただルナちゃんと約束してしまっているので行かないわけにもいかない。どこの部活を見学予定か聞くべきだった。
「…わかりました。放課後伺います」
「あ、勿論紗月ちゃんの気になる部活動も見に行こうね。紗月ちゃんはどこが気になっているの?」
そうルナちゃんに聞かれたが実はそのような部活があるわけではなかった。ただ、帰り時間が遅くなる言い訳ができそうで、週に数回あるかやらないかぐらいの緩いところに所属しようと考えていた。
「特にないんだけど、色々見てみたいなって」
「うん、そうしよう!」
まぁ、見学だけなら行ってもいいか。所属しなければ良い話だし。
「でも、二人とも天文部入ってくれたら嬉しいな。…実は先輩が卒業して今2人だけなんだよ」
「え、そうなんですか」
「だからぜひ来てほしいな。…さて、名残惜しいけど、実は職員室に行く用があってね。先に失礼するよ」
「あ、お昼ありがとうございました」
「いいや、こちらこそ。付き合ってくれてありがとう」
いつの間にか綺麗に昼食を食べ終わっていた優斗先輩は椅子から立ち上がった。
「あ、そういえば昨日入部してくれた1年の男子がいてね。すごく天体に詳しくて、驚いたよ」
「…すごい。人気だね…」
ルナちゃんがちらっとこちらを見ながら言った。
「…どうしようか」
学食は学生でごった返している。本来であれば待ち合わせなどしっかり場所を決めていなければ難しいだろう。しかし、優斗先輩のことは一発で見つけることができた。
「山之内先輩!すごく人気だよ!」
そう、先ほどルナちゃんが人気だといったのは学食ではなく優斗先輩のことだった。優斗先輩は比較的身長が高いほうなのでどこにいるか見つけることはできたが、目立っているのは身長ではなくその周りにいる人の多さだった。予想通り彼は人気のだったらしい。しかし、女子にだけでなく男子にも人気があるとはさすがだなと感じた。
「あ、手振ってるよ」
こちらに気が付いたのか、優斗先輩が手を振っていた。
それと同時に優斗先輩の周りを囲んでいた人たちの視線もすべてこちらに集まる。
視線が痛い。特に女子の視線が。
周りの男子生徒たちは優斗先輩をからかっている様子だった。
「いや、ごめんね。学食いるとさ、人集まってきちゃうんだよね」
優斗先輩は笑いながら味噌汁を一口すすった。
「祝い事とかあるとね、奢りたくなっちゃってさ。誕生日とか、試合に勝ったとか…。祝い事って祝われるほうもうれしいけど祝うほうもうれしいだろう?だからついついいろんな人にね、しちゃうというか…」
「優斗先輩は誰も彼もにしすぎなんですよ。限度ってものがあります」
「なんか申し訳なくなってきました…」
「ルナさんはいいんだよ!この学校に来ての紗月初友達だ。幼馴染として歓迎しないとね」
私もこんなことを言いながらも結局優斗先輩にご馳走してもらっていた。私はきつねうどん。ルナちゃんは味噌ラーメン。申し訳ないと口にしながらもルナちゃんはラーメンに夢中になっていた。
…まるでヒマワリの種を口いっぱいにしているハムスターのようだ。可愛い。
「おいふぃいです…」
「はは、ルナさんは美味しそうに食べるね。何度でも食べさせてあげたくなるよ」
「優斗先輩…」
優斗先輩のそんな発言にあきれながらも、改めて人望がある人なんだと再確認した。お金だけじゃ人は集まってこないと私は思う。もちろんそれで近寄ってくる人もいるだろう。だけど、お金だけを見せびらかしてくる人は正直一緒にいても心地よくない。優斗先輩の優しさだったり、明るさだったり、いい所があるからこそあんな風に人が寄ってくるのではないだろうか。そうじゃなきゃ、あんなに楽しそうにからかったり、他の女子に対して敵意を向けてくるとは思えない。
「まぁ、やりすぎはよくないですけど、優斗先輩だからみんな集まってくるんですよ。みんなきっと優斗先輩がいい人だって知ってるんです。誇っていいと思いますよ」
「…紗月…」
優斗先輩はこちらを向いて嬉しそうに微笑んだ。
…それに気づかないふりをして、私は目を伏せた。
「そういえば、優斗先輩。話って何ですか?」
「…え?あ、そうだったよね。話…そう話があるんだった」
危うく優斗先輩の話に流されて本題を忘れるところだった。
「部活の勧誘をと思ってね。紗月、もうどこかに決めたかな」
「いや、まだ決めてないですけど…。今日、ルナちゃんと見学に行こうと思っていたんです」
「へぇ、ルナさんはどこか気になっているところがあるの?」
「…ふぇんもんふふぇふ」
「なんて?」
ルナちゃんはちょうどラーメンを啜っていたところだったので、急いで食べ物を飲み込み水を飲むと、改めて言い直した。
「…天文部です」
「え!本当?実は僕は天文部でね!すごいタイミングだ」
「!本当ですか?是非放課後見学に行かせてください」
「もちろんだよ!ってことは紗月も一緒に来るんだよね。嬉しいな」
二人がキラキラした目でこちらを見た。
たった数秒のことで止める隙もなかった。…先輩の部活動には見学さえも行くつもりはなかったのに。ただルナちゃんと約束してしまっているので行かないわけにもいかない。どこの部活を見学予定か聞くべきだった。
「…わかりました。放課後伺います」
「あ、勿論紗月ちゃんの気になる部活動も見に行こうね。紗月ちゃんはどこが気になっているの?」
そうルナちゃんに聞かれたが実はそのような部活があるわけではなかった。ただ、帰り時間が遅くなる言い訳ができそうで、週に数回あるかやらないかぐらいの緩いところに所属しようと考えていた。
「特にないんだけど、色々見てみたいなって」
「うん、そうしよう!」
まぁ、見学だけなら行ってもいいか。所属しなければ良い話だし。
「でも、二人とも天文部入ってくれたら嬉しいな。…実は先輩が卒業して今2人だけなんだよ」
「え、そうなんですか」
「だからぜひ来てほしいな。…さて、名残惜しいけど、実は職員室に行く用があってね。先に失礼するよ」
「あ、お昼ありがとうございました」
「いいや、こちらこそ。付き合ってくれてありがとう」
いつの間にか綺麗に昼食を食べ終わっていた優斗先輩は椅子から立ち上がった。
「あ、そういえば昨日入部してくれた1年の男子がいてね。すごく天体に詳しくて、驚いたよ」