君に会うために僕は
急いで学校の階段を降りていく。
1年生は四階なので昇降口まで時間がかかる。
三階は2年生の教室がある階なので優斗先輩に会ってしまわないか少し不安だったが大丈夫だった。
昇降口で靴を履き替える。
昇降口を出て左に曲がると、南門がある。
南門まで向かいそこから校舎を見ると、
前に優斗先輩から見せてもらった学校案内のパンフレットの表紙と全く同じ光景があった。
そう、この情景だ。
子どものころに見たことがある気がする。
南門から道に出る。
向かいには野球場が広がっている。
野球場を右手にまっすぐ進む。
やっぱりそうだ。私はこの道を通ったことがある。
おそらく通った時に校舎を見たことがあったんだろう。
しばらく進むと見覚えのある洋風の一軒家が目に入った。
「あ、ここ!猫の置物がある家!」
ちらっと庭を覗くと、記憶では白かったはずの錆びたの猫の置物があった。
「じゃあ、ここは左に曲がって…」
もやがかかった記憶を頼りに進んでいった。
まだこの先には何があるのか、思い出せてないけれど…
「…で、この角を曲がって…」
「やべー!早くしないと!」
角を曲がったと同時に後ろから来た小学生にすごい勢いで追い抜かれた。
突然だったのでびっくりして立ち止まっていると、小さな女の子が泣きそうになりながら走ってきた。
「待ってよぉ!お兄ちゃん!」
「早くしないと、時間になっちまうだろ!急げ」
妹のもとに戻ってきたお兄ちゃんは彼女の手を取り、
一緒に目の前にある建物の中にかけていった。
…なぜだろう。
その二人の姿さえも、懐かしく感じてしまうのは。
「…ここは…?」
薄緑色のドーム型の屋根が目印の建物。
そうだ…。
ここにはよく来ていた気がする。…星が、見れるから。
看板には”児童館”と書かれていた。
高校生が入るのはちょっと目立ってしまうかもしれないけど…。
意を決して中に入った。
自動ドアが開き、カウンターにいた職員さんと目が合った。
やはり高校生は珍しいのかじっと見られたが、声をかけられることはなかった。
どきどきしながら靴を脱ぎ、下駄箱にしまった。
下駄箱の横には近くのバス停の時刻表が貼ってあった。
駅までのバスもあるようだ。帰りはこのバスに乗って帰ることにしよう。
フロアには数人の子どもたちがいた。
見た目からして小学生だろう。何やらボードゲームをしている。
カッコッカッコッとリズミカルな音がした。
卓球だろうか。二階から聞こえる。
なんだか懐かしい匂いがした。
少し暗くなっている通路へ進む。
進むとそこには古びた券売機と重々しいドアがあった。
横の掲示板には”今月の物語”と書かれており一枚のポスターが貼ってある。
今月は『大熊座とこぐま座の物語』が見られるようだ。
値段は100円…と書いてある。子どもでも気軽に見やすい値段設定だ。
「私、好きだった。ここの…プラネタリウム」
何度も、何度も来た気がする。
「あの…」
「あ、はい!」
プラネタリウムのドアが開き、中の人から声をかけられた。
職員さんだろうか?眉間に皺を寄せてこちらを見ている。
「プラネタリウム、今日最後の回、もう始まるんですけどもしかして見ますか?
見るなら早くしていただきたいのですが…」
「あ、す、すみません。えっと、見ます!えっと、100円でしたよね。
ごめんなさい、今から券買ってもいいですか…」
「あー…ギリギリ大丈夫です。今度から早めに来てくださいね」
「すみません、ありがとうございます」
中に入るともう暗くなっていた。
職員さんが足元を照らしてくれて、一番近い席に座った。
「…お待たせしました。それでは今から『大熊座とこぐま座の物語』を上映します」
職員さんのアナウンスと共にブザー音が鳴る。
すると真っ暗だった視界が少しずつ明るくなっていった。
1年生は四階なので昇降口まで時間がかかる。
三階は2年生の教室がある階なので優斗先輩に会ってしまわないか少し不安だったが大丈夫だった。
昇降口で靴を履き替える。
昇降口を出て左に曲がると、南門がある。
南門まで向かいそこから校舎を見ると、
前に優斗先輩から見せてもらった学校案内のパンフレットの表紙と全く同じ光景があった。
そう、この情景だ。
子どものころに見たことがある気がする。
南門から道に出る。
向かいには野球場が広がっている。
野球場を右手にまっすぐ進む。
やっぱりそうだ。私はこの道を通ったことがある。
おそらく通った時に校舎を見たことがあったんだろう。
しばらく進むと見覚えのある洋風の一軒家が目に入った。
「あ、ここ!猫の置物がある家!」
ちらっと庭を覗くと、記憶では白かったはずの錆びたの猫の置物があった。
「じゃあ、ここは左に曲がって…」
もやがかかった記憶を頼りに進んでいった。
まだこの先には何があるのか、思い出せてないけれど…
「…で、この角を曲がって…」
「やべー!早くしないと!」
角を曲がったと同時に後ろから来た小学生にすごい勢いで追い抜かれた。
突然だったのでびっくりして立ち止まっていると、小さな女の子が泣きそうになりながら走ってきた。
「待ってよぉ!お兄ちゃん!」
「早くしないと、時間になっちまうだろ!急げ」
妹のもとに戻ってきたお兄ちゃんは彼女の手を取り、
一緒に目の前にある建物の中にかけていった。
…なぜだろう。
その二人の姿さえも、懐かしく感じてしまうのは。
「…ここは…?」
薄緑色のドーム型の屋根が目印の建物。
そうだ…。
ここにはよく来ていた気がする。…星が、見れるから。
看板には”児童館”と書かれていた。
高校生が入るのはちょっと目立ってしまうかもしれないけど…。
意を決して中に入った。
自動ドアが開き、カウンターにいた職員さんと目が合った。
やはり高校生は珍しいのかじっと見られたが、声をかけられることはなかった。
どきどきしながら靴を脱ぎ、下駄箱にしまった。
下駄箱の横には近くのバス停の時刻表が貼ってあった。
駅までのバスもあるようだ。帰りはこのバスに乗って帰ることにしよう。
フロアには数人の子どもたちがいた。
見た目からして小学生だろう。何やらボードゲームをしている。
カッコッカッコッとリズミカルな音がした。
卓球だろうか。二階から聞こえる。
なんだか懐かしい匂いがした。
少し暗くなっている通路へ進む。
進むとそこには古びた券売機と重々しいドアがあった。
横の掲示板には”今月の物語”と書かれており一枚のポスターが貼ってある。
今月は『大熊座とこぐま座の物語』が見られるようだ。
値段は100円…と書いてある。子どもでも気軽に見やすい値段設定だ。
「私、好きだった。ここの…プラネタリウム」
何度も、何度も来た気がする。
「あの…」
「あ、はい!」
プラネタリウムのドアが開き、中の人から声をかけられた。
職員さんだろうか?眉間に皺を寄せてこちらを見ている。
「プラネタリウム、今日最後の回、もう始まるんですけどもしかして見ますか?
見るなら早くしていただきたいのですが…」
「あ、す、すみません。えっと、見ます!えっと、100円でしたよね。
ごめんなさい、今から券買ってもいいですか…」
「あー…ギリギリ大丈夫です。今度から早めに来てくださいね」
「すみません、ありがとうございます」
中に入るともう暗くなっていた。
職員さんが足元を照らしてくれて、一番近い席に座った。
「…お待たせしました。それでは今から『大熊座とこぐま座の物語』を上映します」
職員さんのアナウンスと共にブザー音が鳴る。
すると真っ暗だった視界が少しずつ明るくなっていった。