彼女が恋をしたのは。

お誕生日

「おい、佐藤。起きろよ、部長に怒られるぞ笑」

「あ〜っ、順かぁ。」

ヨダレを少し垂らしながら、

ふと卓上カレンダーを見るやいなや、

「おっと。いけない〜。今日葵の誕生日だ。」

と卓上カレンダーの8月4日が、

青く丸で囲まれてるのを

ぼんやりはっきり見た。はっきりと。

仕事終わりの18:00。水族館で待ち合わせ。

「あっ。駿しゅんさん。」

と一際、可愛く手を振る女性がいる。

「あっ、葵ちゃん。ごめん。待った〜?」

とまた先に待たせてしまった。

「待ってないですよ。行きましょ。」





「大人チケット2枚。」





葵ちゃんは、チケットを受け取ると、

「ありがとうございます。」

と軽く会釈すると、小走りでとある水槽へと

向かって行った。

例の、

クラゲ、

「キャ~っ、可愛い。プカプカ浮いて。」

「そういえば好きって言ってたもんな、クラゲ」

「何かずーっと居られるっていうか、

見てられるっていうか、、。駿しゅんさんみたい。」

「おっ、俺っ?!クラゲねぇ~。」

と言いながら、その後、いつもの居酒屋に、

なっちゃったけど、「とんきた」。

俺と葵の出会いの場所で、お祝いって訳ですよ。

のれんをくぐって、ガラガラ〜と

ドアを横にスライドすると、

「おっ、いらっしゃい。いつもの席

予約していたよ。」

カウンターの、テレビの見やすい、

一番手前の2席である。

「すみません。いつもの。」

と俺が言うと。

おやっさんが、すっと

「へい、お待ち。」

と瓶ビールと小さいなグラス2つ出してくれた。

「乾杯〜い!」

「早速だけど、」

「これ、お誕生日おめでとう㊗」

と小さい薄く青いBOXを強く、そして、

そっと差し出す。

「えっ。嬉しいな。何だろう。開けても良い?」

「うん。」

と、青いリングが2つ小さいのと大きいのと。

「えっ。指輪💍2つあるけど???」








「えっと、おれっと、」 

「俺と結婚して下さい!」



と、頭を下げて、右手をすっと差し出す。

左手は恥ずかしそうに、力が入ったかのように。






「えっ。嬉しいな。私で良いの?」
「よろしくお願いします。」




今日は俺と葵の記念日。
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