雨上がりは君の隣にいたい

雨を見上げる

次の日は、午前中、晴れていたけど、午後から雨が降り始めた。こんな日は、蒼井君、どうしてるんだろう。
そんな事を思いながら、一日を過ごして、部活が終わると旧校舎に向かった。私は、昨日と同じ図書室に向かった。
「蒼井君」
でも、そこに蒼井君の姿は、無かった。 
あっちの校舎かな。
私は、急いで、校舎の中に戻って、誰もいない教室を探した。
「おっ、来たか」
そして、やっとの思いで、蒼井君が居る教室を見つけることができた。
「やっと、見つけた。今日は、二年の教室だったんだね」
「夜川が探しやすいように、三年の教室まで、行こうと思ったんだ。だけど、吹奏楽部が居たから、やめた。旧校舎も昨日、行ったしな」
だから、旧校舎に居なかったんだ。
「少しだけ、今日、居ないかもって思った」
「あー。午前中、晴れてたから?」
「うん」
「それでも、午後、雨が降って来て、探しに来てくれたんだ」
「そうだよ」
「夜川、そんなに俺に会いたかった?」
「会いたかったよ?」
「何で、疑問系で返すんだ。ストレートに返せよ」
「えぇ?...ちゃんと、会いたいって、思ってた」
「違う」
何が違うか、分からなかったけど、私は、考えた末に、答えを言う。
「...蒼井君に会いたい」
「それな。覚えとけ」
「何で?」
「俺に会いたい時に夜川がすぐ、俺を見つけられるようにする、まじないだ」
「おまじない?」
「ああ。雨を見上げて、俺に会いたいって、願うんだ。そうしたら、何となく、どこに居るか、分かる」
「本当に?」
「ああ。でも、試すのは、明日からにしろよ」
「分かった」
そして、次の雨の日は、一週間後だった。
今日は、部活も休みで、放課後になると、誰も居なくなった教室で、窓から見える雨を見上げて願った。蒼井君に会いたい。
すると、なんとなく、旧校舎に行きたくなった。
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