雨上がりは君の隣にいたい

雨の約束

私は、旧校舎に走った。そして、教室を見てまわる。すると、蒼井君が居た。
「やっと来た」
「何で、ここに居るの?」
「ここに来てるからだろ?」
「そうじゃなくて、おまじない、使ったら、ここかもって、思って来たら、蒼井君が居るんだもん」
「使ったんだな」
「うん」
「じゃあ、次は、もっと、早く、探せよ」
「えぇ。それは、出来ないかも」
「それなら、隠れてやる」
「嫌!蒼井君、隠れないで!」
「冗談だ」
「ううん。冗談じゃないでしょ?!」
「さあな」
蒼井君は、笑って、空を見上げる。
「そういえば、夜川、部活、どこ入ってんの?」
「私、文芸部」と答えると蒼井君の視線が窓から私に移る。
「話、書くのか?」
「うん。書くよ」
でも、完成しても、あまり、手応えが無いけれど。
「出来てるやつ、今度、持って来いよ」
「えっ」
「俺、読みたい」
「私なんかので、良いの?」
「夜川だから、読みたいって、言ってんだろ」
「私だから?」
「ああ。それと自分なんかとか言うんじゃねえよ」
こんなの初めてだ。
「うん。読んでほしい」
そして、気づいたら、下校の時間になっていた。
「蒼井君...」
私は、眠っていた。そこは、自分のクラスの教室だった。雨は、止んでいて、夕焼けの空が見えていた。
「蒼井君!」
私は、旧校舎に急いだ。でも、雨が止んだからか、教室のどこにも、蒼井君の姿は、無かった。
「夢じゃ、無いよね?」
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