御曹司に海外へ連れ去られ、求愛されました。



眩い日差し。容赦のない太陽。海の波の音。さわさわと植物たちが葉を擦る。無人島でラウンジチェアに横たわる私は、水着姿で本を読んでいる。
傍のチェアには、男。しかも、大手企業の御曹司。


「こんな島まで来たのに読書か?」


サングラスを上げ、こちらを覗く綺麗な瞳。完璧に美しい顔立ち。祖母がイギリス人だったと言っていた。長谷部 彰人(はせべあきと)は、自動車メーカーの御曹司で次期社長だ。私はなんの関係も無い、ネイリストを辞めたばかりのただの女で、長谷部さんに求愛されている。白崎 茜(しろさきあかね)と名前はあるが、こんな日本でもトップクラスの男にとっては、ただの一般の女に過ぎない。と思っていたのだけど……。


「読書は趣味なんです。……それより、本当に恋人にならないと、日本に返してくれないんですか?」


「もちろん。こんなに好きになった女性は、茜ちゃんが初めてだからね」


そう言われてしまった。何故無人島にいるのか、御曹司に求愛されているのか、理由はこうだ。




 
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